円滑なコミュニケーションに大事なことは?
「部下との正しいコミュニケーション」についての講座、今回ついに最終回です。
第1回目では「マインドを込めて話しましょう!」というお話をしましたね。
第2回目で、マインドの正体をお伝えしました。
第3回目である前回はコミュニケーションの齟齬(そご)を生みださないための考え方を。
そして、最終回である今回お伝えしたい内容は今までの総まとめというか、「今までの内容を実践するにあたって覚えておいて欲しいこと」…とお考えください。
では、次章へどうぞ!
「多様性」を理解する時代、会社へ
結局、今回私がお伝えしたい内容はタイトル通り。
「『多様性』を理解した上司、会社になりましょう」
この言葉につきます。
ここで少し気をつけていただきたいのが「受け入れましょう」ではなく「理解しましょう」というところなのですが、それはまた別の章で説明していきますね。
では多様性とは一体どういう意味なのでしょう。
ぽっと出の流行語?
若者言葉?
その答えは次章にあります。
「多様性」の意味とは?
多様性と聞くとなにやら難しい響きのようですが、とても端的にいえば「みんな考えることも国籍も、価値観もなにもかも違いますよ」ということ。
SDGsでも取り上げられているこの言葉は、幅広い意味合いを持っているのです。
何人かの部下へ、同じ内容を同じように伝えたはずなのに、その内数人には上手く伝わっておらず「アレッ何で?」と頭を抱えたことはありませんか?
こういった問題も「多様性」が引き起こすもの。
部下が全員クローンであれば同じ伝え方でもよいでしょうが、そんなことはあり得ませんので、そういうわけにもいきません。
「多様性」は本当に最近の言葉?
「多様性」は最近よく聞くホットワードのように思えますが、実は1980年代ごろにはすでに日本でも使われていました。
当時は男女雇用差別が激しい時分でしたから。
近年では特に価値観や性格など、内面的な多様性にも目を向けようとする動きも顕著になってきています。
某感染症の流行により暮らしや仕事のあり方が大きく変化した近年。「多様」という言葉はぴったりですね。
多様性という言葉をよく耳にするようになった理由として、こういった側面もあるのかもしれません。
さて、「多様性」という言葉が案外ぽっと出のものではないとご理解いただけたところで、もう少し掘り下げていきましょう。
「多様性」の歴史は2,500年前から!?
みなさんは「十人十色」という四字熟語、ご存知ですか?
「ものの見え方、価値観、好みなどは十人いれば十通りあるのよ」といった意味合いなのですが…あれ?
これ、多様性の説明と少し似ていませんか?
この言葉、語源ははっきりとしていませんが古いものでは江戸時代からみられたものだとか。
少し違うかもしれませんが、金子みすゞ氏の有名な詩『わたしと小鳥とすずと』にも「みんな違ってみんないい」というフレーズがあります。
これも、多様性の周知と近しいものを感じますね。
さらに、2,500年前に遡ると「人を見て法を説け」という教えをお釈迦様が説いています。
解釈的には「人はそれぞれ違うのだから、同じ教え方だと上手くいかないよ。人によってアプローチ方法を変えてみようね」といったところでしょうか。
江戸時代でも驚きなのに、2,500年前と聞くとスケールが大きすぎて…
まぁ、それくらい昔から「多様性」と似た言葉は存在していたということ。
つまり、それくらいこの考え方は重宝されてきたのだと。そう考えられませんか?
ただ、「この思想が根付いていないから言葉を変えて令和にまで残り続けているのではないのか」、とも言えますが。
【補足】多様性を「受け入れる」のではなく「理解する」
さて、「受け入れる」のと「理解する」のとでは少し意味が違ってきます。
もちろん、受け入れることができる方はそれでもよいでしょう。そこもまた「多様性」のひとつです。
ただ、絶対に!というわけではありません。他人の価値観を、わざわざ自分の価値観を捻じ曲げてまで受け入れる必要はありませんからね。
また、逆に人の価値観を否定するのもナンセンスです。無理矢理受け入れようとしたり、押し退けるのではなくお互いを尊重し合うことこそが「多様性」の本質ともいえます。
このあたりを勘違いしている方が多いから、「多様性」「十人十色」などの考え方が定着しないのではないでしょうか。
十人十色が合言葉
価値観や考え方などは人それぞれ。
つまり、指導方法なども人それぞれに合った方法があるということ。
それを理解したうえで、過去講座での内容を実践してみてください。きっと今までとは違う、たしかな感触が得られるでしょう。
さて、いかがでしたか?
多様性や十人十色など、聞いた言葉であっても、案外自分ではそれを意識できていないものです。
「なんでこんな考えになるんだ!」と苛立ちが湧いたりすることもあるかと思います。
そういうときは一旦落ち着いて、自分と目の前の人とでは価値観が異なるんだということを改めて思い出してみましょう。
自分が自分の考えを持っているのと同様に、目の前の人物も、またその人なりの考えを持っているのです。
【おまけ】マネジメントのヒントはお釈迦様?
昔、お釈迦様が「人を見て法を説け」という言葉を残していた話は先ほどの通りです。
まさに、マネジメントに精通したありがたいお言葉ですね。
実はお釈迦様の言葉はマネジメントにも、日常生活におけるコミュニケーションにも通ずるものが多くあります。
この言葉を少しだけでも勉強してみれば、日常のストレスや悩みが軽減するかもしれないのになぁと、上畠はいつも思っています。
エッ、なんでお釈迦様?と思われたかもしれませんね。
実は私、後年得度(出家)しております!元々クリスチャンでしたが…
ですから、今後も時々お釈迦様のことを書いていこうかと考えています。先述のマネジメントや日常の悩みにも関係したものもありますので、お楽しみに。
「部下との正しいコミュニケーション」講座は以上で終わりとなります。
ですが、マネジメントに関するコラムは今後も随時発信していく予定です!それでは、来週またお会いしましょう〜
この記事をシェアする